ちゃちゃののほほんらいふ

ちゃちゃののほほんらいふ

今日もプリエから

守ってきたもの

お稽古場にある階段の上に登って、踊っている人を眺めるのが好きだ。まるでムササビのような視点で、ただ一緒に踊る仲間のことを、みんなのことを考えている。 *** ここは、とある静かな街にもう40年くらいあるバレエ教室の、社会人クラス。私たちはプロ…

あなたはわたしなんだね

青井葦人がサッカーをするとき、彼の中には母ちゃんと瞬兄の存在がある。 (「アオアシ」、アニメはまだ5話で、たまらなく面白くて漫画無料のところまで読んでしまった……。途中までしか読んでいないから、私の推測でもあるが。) 葦人がサッカーが大好きだと…

わたしの20年間

外に出てみたら、分かることってある。 「いつもの」は心地いいけれど、もしかしたら、今の自分に合うのは他のものかもしれない。新しい選択をしてやっぱり違うなと感じたなら、なおさら普段の良さを感じるだけでいい。 *** 今までなぜそう思わなかったの…

わたしたちはオオカミ

幅允孝さんが出演されていたテレビ「理想本箱」(理想的本箱)で紹介されていたし、サッカーも本も好きなので、読んでみた。 www.umitotsuki.co.jp アビー・ワンバック著『わたしはオオカミ』。 なでしこジャパンがW杯で初優勝した2011年。そこで見た、アビ…

春のかおりと心持ち

職場の人と、「週末はあったかくなるんですかねぇ」なんて話していた先週。 土曜日は本当に、「あったかいな」と肌で感じられる陽気になった。 バレエスタジオは窓が大きくて、天井が高くて、スペースも広くて。お稽古の時間には明るい光がたくさん差し込ん…

世界の誰かが、同じ曲で踊っている

社会で起こっているとされる事象が、自分の目の前にも立ち込めていて、ぐっと迫ってくる。 学生の頃は、こんなところまで想像が及びもしなかったな。見えていなかったと思う。 自分が生活の中で感じることは、社会の中で、多くの人が同じような感覚で抱えて…

必要な言葉

学生の時、「彼氏ができるとなぜか先生にはバレている」と言った先輩がいた。 私もそうだった。私の場合は、彼氏と別れてスッキリした時に「何か変わった?」と声かけられることが多かったけれども。 なんでもお見通しなんじゃないかと思うくらいなのだ。 先…

誰にも頼まれていないけれど

2021年が終わり、2022年が始まりました。 年が変わることは特別ですが、日常は前年と地続き。気持ちを入れ替えられるところでは入れ替えながら、変わらずにコツコツ過ごしていくつもりです。 *** 昨年の4月から書き始めた、バレエのお稽古の記録「今日も…

頑張るのでなく、「期待をかける」

<今日もプリエから 12> 実は、「頑張る」は私にとって苦手な言葉の一つである。 高校生の頃、担任の先生に「授業中のあなたは必死過ぎて怖いよ」と言われた。フランクな間柄だったからストレートに言えたことなのだが、夢中になると止まらない性格は外から…

ひとりの女性として生きること

▶︎ 今日もプリエから 11 ◀︎ 私のバレエスタジオには、いわば“レジェンド”的なダンサーたちがいる。30歳くらいの女性たちで、幼い頃からみんなで一緒にお稽古を続ける仲間。 どこが“レジェンド”なのかというと、もちろん踊りのテクニックは申し分なくて、可愛…

本当の心との距離

<今日もプリエから 10> 特段変わりもなく、毎週のようにお稽古場に向かった土曜日の朝。入り口のある廊下を歩いている時に気がついた。 今日はO先生のレッスンだ。 いつもの先生が用事でお休みの日に、O先生は代理として来てくれる。ちゃんとお稽古を持っ…

今日もプリエから:「自分の足で立ちなさい」

「自分の足で立ちなさい」 先生が何の気もなく発した言葉を、“バレエに対しての注意だ”と頭が認識できなかった。 たったの一言なのに、ずっしりと自分の心の奥底にまで突き刺さる。紙にぎっしりプリントされた文字列の中で、その部分だけが違った色で光って…

今日もプリエから:消えた気持ち

誰よりも上手くなりたかった。誰よりも先生に褒められたかった。 自分より上手な人を見ると悔しかったし、できないことがあると悲しかったし、先輩たちに混ざってお稽古を受けたかったし、上手な人を見つけたら食らいついて真似をして練習した。 初めて10年…

今日もプリエから:暗闇から手を伸ばせ

24歳になる直前、みんなが当たり前にできていることが全くできなくなった。 普通に求められている仕事ができない。最低限さえもできない。中身のあることが何一つ話せない。自分には、何もかも足りない。 世の中が“普通”とすることができない。「優等生的生…

今日もプリエから:新しい仲間

こんな状況だとしても、スタジオに新しい仲間が少しずつ増えている。 自分のいる環境が変わったり、パートナーとの関係で引っ越しをして、それでも踊り続けたいと始めたりしているみたい。 わたしのクラスは、幼い頃からずっと通い続けている“長者”的存在も…

今日もプリエから:積み重なり

解決しきれていないことをせかせかと進めていたら、お稽古に行かずに一ヶ月が過ぎてしまった。 基本的にはお稽古は皆勤するほう。だけど、数十年間お稽古に行き続けていると、たまに穴の空く期間ができてしまう。 例えば、目まぐるしく忙しかった20歳の時。…

今日もプリエから:共通言語

「言葉にしなくても分かる関係」があるのだと思う。 トンべパドブレ。右足前の5番から。反対側も。 みんなでバーの前に、鏡の前に立って、頭で考えなくてもある動きができる。 「踊る」という言語を共有できる、家族とも、友達とも、恋人とも違う仲間がいる…

今日もプリエから:人が還る場所

舞台が終わりました。 見に来てくれたお客様との面会や集合写真撮影などもなく、例年に比べたらひっそりと…… 終わりました。 前回の舞台が学生生活の終わり頃だったから、社会情勢的にもいろいろあったし、自分の環境も大きく変わった。 生活も、仕事も、恋…

今日もプリエから:別れを惜しむ

舞台の日が、その作品を踊る最後の日になる。 わたしの通うバレエ教室は、作品は創作だし、何回も公演が続くことはない。一回きりの舞台。それを迎えたら、作品とはさよならをすることになる。 数分間の作品だけど、何回も何回も繰り返してきた練習。振り返…

今日もプリエから:「足りない」自分も、実は「足りている」

「足りない」と思ってばかりで、焦ってきた気がする。「自分は十分足りている」と思えた瞬間って今まであっただろうか。 成績で学校に学費を免除してもらっても。人前に立って外見を褒められても。羨ましがられるカタカナの肩書きを手に入れても。 「でも、…