ちゃちゃののほほんらいふ

ちゃちゃののほほんらいふ

頑張るのでなく、「期待をかける」

<今日もプリエから 12>

 

実は、「頑張る」は私にとって苦手な言葉の一つである。

 

高校生の頃、担任の先生に「授業中のあなたは必死過ぎて怖いよ」と言われた。フランクな間柄だったからストレートに言えたことなのだが、夢中になると止まらない性格は外から見ても分かるのだろう。続けて、「だから、頑張ろうとしなくていいよ」とも言われた。

 

教習所に通っていた頃、教官の方に「あなた、頑張らなくても勉強とかできたタイプでしょ」と言われた。器用ではないから、“なんでもできる”わけではない。でも勉強は好きだった。数少ない、頑張らずに自然とできることだったのだと思う。

 

はじめて勤めた会社では、仕事を「頑張らないと」ままならなかった。“答えがない”仕事内容も、競争的な社風も、それに基づく評価制度も。仕事は頑張って結果を出すものだとは思うけれど、すごく緊張して、縮こまっていた日々だったと今では振り返れる。

 

そんな諸々があって、「頑張る」という言葉とは距離を置くようになっていた。でも、ギュッと力を入れて無理をすることから遠ざかった分、どこかで自分に天井を作っていた気もする。

 

***

 

「頑張る」へのイメージを少しだけ軽くしてくれたのは、数年ぶりに受けたS先生のレッスンだった。

 

S先生は、バレエを始めた2歳の頃から私を知ってくれている。主にクラシックバレエ担当のパワフルな先生で、話すだけでそのエネルギーに圧倒されそうになる。

 

クラシック出身だから、なおさら基本に忠実なお稽古。「遠慮しないで、もう少し脚開いて、脚上げていいんだよ!」と注意してくださる。本当は全く遠慮なんてしていなくて、「もう限界…!」と思ってやっているのだけれど(笑)持ち前の明るさで伝えてくれるから、全く嫌味な感じはしない。

 

 

バレエ歴20年を超えた大の大人たちに向かって、先生は言う。

 

「大人だから、もうこれくらいでいいや、私にはできないし、って思ってるでしょ? でも、長く続けるためにいちばん大切なことなんだよ」

 

そうか、「頑張る」って、他人に認められるためにやらなくていいのか。無理やり力を入れるのではなくて、少しだけ自分に期待をかけてみることなんだ。評価されるためじゃなく、もっと上手に踊れる自分を、自分で諦めないように。

 

達成できなかったとしても、それは少しだけのエラーだと思えばいい。また、できる範囲で自分の身体と向き合えばいいから。

 

 

 

 

次の週から、少しだけ少しだけ、自分の身体のキャパを広げてみている。これは私だけでなくて、お稽古場にいる皆がそうしている気がした。

 

 

▼前回の「今日もプリエから

20年以上続けてきたバレエのお稽古について、毎週日記を綴ることにしました(エッセイスト・森下典子さんの『好日日記』に憧れて)。バレエについて書くことは、人生について書くこと。

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