今日もプリエから:別れを惜しむ
舞台の日が、その作品を踊る最後の日になる。
わたしの通うバレエ教室は、作品は創作だし、何回も公演が続くことはない。一回きりの舞台。それを迎えたら、作品とはさよならをすることになる。
数分間の作品だけど、何回も何回も繰り返してきた練習。振り返れば、半年以上。
先生が選んでくださった曲を初めて聴くとき、振り付けがどんどん長くなっていく過程、「全然体力足りないよね」なんて仲間と言いながら練習した時間、衣装に腕を通して背筋が伸びた瞬間。
作品ができる過程にいて、生きてきた。
踊りは勝敗が出るものでも、モノとして何かを残すわけでもない。誰かの記憶にしか、残らない。つくづく、何も残さないなと思う。
舞台には立ちたいけれど、お願いだから、もう少しだけこの世界に居させてほしい。
舞台が近づくにつれ、お稽古もあと数回。
声には出さなくても、舞台に立つ不安や、もう少しでも本番で綺麗に踊りたい……って思いがみんなにあったのが読み取れた。
先生はあからさまに「1回通すだけでいいのに」って顔をしていたけれど、もう一回もう一回……って曲を流すことをお願いする私たち。
みんな大体、在籍20年以上のいい歳した大人なはずなのに(笑)上手くなりたい気持ちは、どれだけ歳をとっても子供の頃と変わらない。
春は、舞台の季節です。
▼ 前回の日記