ひとりの女性として生きること
▶︎ 今日もプリエから 11 ◀︎
私のバレエスタジオには、いわば“レジェンド”的なダンサーたちがいる。30歳くらいの女性たちで、幼い頃からみんなで一緒にお稽古を続ける仲間。
どこが“レジェンド”なのかというと、もちろん踊りのテクニックは申し分なくて、可愛くて、美しくて……。
でも、それだけではない。何よりユーモアがあって、踊りに「自分たちを投げ出す」のがすごく上手なのだ。
踊りの中で彼女たち同士が目を合わせて、気持ちをぶつけ合ったり、会話をしているみたいだったりもする。それを見て、こちらも笑いたくなってしまうような。
コンクールで入賞して技術があって、上品で綺麗に踊るダンサーはお教室にもたくさん出てきた。でも、“踊る喜び”をここまでパワフルに舞台の上で表現できる人たちは、そう多くはないと思う。
彼女たちが舞台の上に集まるのを見ていると、心と身体はまずは自分のためにあって、私たちはそれを自由に解き放てるのだと思わせてくれる。
「上手に踊ろう」と考えることはもちろん大切。だけど、恥ずかしさやプライドをなくして、縮こまらずに表現ができるダンサーはどれくらいいるかな。
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毎日が同じことの繰り返しに思えたり、人と人との意見に挟まれて振り回されたり、ワガママな人に対応したり。仕事をしながら踊り続ける彼女たちにとって、もしそれが“日常”なのだとしたら。
思うままに身体を動かせるダンスの時間はポジティブな意味での“夢”であると思う。
週に1度だけでも、自分が自分らしくいられる“夢”の時間があることは、どれだけ私たちを支えてくれるんだろうか。
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社会人クラスに、また新しいメンバーが加わりました。今年で3人目。いろんな人が集まってきて、嬉しいなぁ。
▼前回の「今日もプリエから」
20年以上続けてきたバレエのお稽古について、毎週日記を綴ることにしました(エッセイスト・森下典子さんの『好日日記』に憧れて)。バレエについて書くことは、人生について書くこと。