今日もプリエから:消えた気持ち
誰よりも上手くなりたかった。誰よりも先生に褒められたかった。
自分より上手な人を見ると悔しかったし、できないことがあると悲しかったし、先輩たちに混ざってお稽古を受けたかったし、上手な人を見つけたら食らいついて真似をして練習した。
初めて10年くらいのうちは、そう思って努力して、続けてきたかもしれない。特に、多感な中学生のころ。高校生くらいまでは。
…… バレエを20年以上続けて(ある程度)大人になった今。誰かと競って上に立とうとするような、ギラギラした気持ちは自然と消えてきた。どうしても自分が目立ちたいとは、思わない。
そりゃあ今でも、センターで踊らせてもらえたり、自分一人だけの振り付けをもらえたりしたら、嬉しいけれど。
比べる先は他人でなく自分であることと、適材適所な場所がある、ということを知った。それが子供の時と今の違いだと思う。
「できないことを諦める」とは異なるし、努力をやめるわけでもない。上手くなりたい気持ちは、この先もずっとなくなることはない。
次の発表会で、前の自分と変わったことがあれば良い。できれば、プラスの変化がいいな。そのために、自分が踊るべき振りを踊る。
ただ「踊る」ことを、今選んでやっている。辞めるとか辞めないとかじゃなく、それが続いてきている。
好きな何かを長く続けていくというのは、それだけのことなのだ。
▼前回の「今日もプリエから」