ちゃちゃののほほんらいふ

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渡せなかった手紙のこと(映画『芳華 -Youth-』)

 

渡せなかった手紙のことほど、覚えているのはなんでだろう。

思いを届けたくて、でも振り絞った言葉を伝えられなかった。時が経って、改めて気づくものなんだ。支えになってくれた人のことに。

 

 

1970年代の中国が舞台の、若者たちのストーリー。『芳華 -Youth-』(2017年製作)。

 

 

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<あらすじ>


1976年、軍で歌や踊りを披露し兵士たちを慰労し鼓舞する歌劇団・文工団に、夢と希望を持った17歳のシャオピン(ミャオ・ミャオ)が入団。農村出身で周囲となじめずにいる彼女の唯一の支えは、模範兵のリウ・フォン(ホアン・シュエン)だった。 しかし、時代が大きく変化する中、ある事件をきっかけに、二人の運命は非情な岐路を迎えるー。

 

  

「伝えること」において大切なことは二つあるんだよ、と教えてくれた大好きな先生がいます。一つは、「今伝えるために、懸命に言葉を尽くすこと」だと。

 

そして、もう一つは「『実は、あの時ね…』にも頼ること」。時が経ったから、伝えられるようになることもある。この映画は、この後者の方の物語でもあります。

 

“渡せなかった手紙”は、相手には届かずに自分の手元に残る。時が経ってしまったことは、たぶん、主人公たちの意には沿わなかったことかもしれません。

 

でも、だからこそ。いつか時間が経って、言いたかったことを伝えられたり、いろんなことを「ふふ」と思い返せる日がきっと来るんだろうと思います。

 

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主人公たちは、息が詰まるような思いもしたし、見たくないものだって沢山見た。

 

だからこそ、力を添えてくれたり、寄りかかることができたり、あんな風にリフトをしてくれたリウ・フォンが文字通り、シャオピンにとっての〝支え〟だったはずなのです。

 

自分の中にあった全てが消え去ってしまったとしても、彼にリフトをしてもらった記憶は、シャオピンの「身体の中に」残っていたんだと思う。

 

 

シャオピンが座っている席を飛び出して外に出て、ひとり踊るシーン。リウ・フォンとだから踊れた、あの振り付けを。
 

誰かは、必ず誰かの支えになっているのだなあ、と。

 

 

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